「VORTEX」※ネタバレあり

年が明けてから2週間が経ってしまったが、年末に観たギャスパー・ノエの「VORTEX」を。

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心臓を患う夫と、認知症の妻、それに薬物中毒の息子という家族の話である。フランソワーズ・ルブランの認知症の演技が非常にリアルで、息子と父親の会話もリアルである。年齢的にも立場的にも息子の気持ちになってみてしまったが、なぜ人は歳を取った自分を認められないのだろうか。

物語は基本的に妻と夫を映す2画面で展開しており、お互いの視点がずれていることを映しているとされる。それと同時に時間のずれもあるように感じた。夫がずっと映っているにも関わらず、妻が突然部屋から玄関までジャンプしているのである。最終的に時間軸のずれをどのように帳尻あわせしているのか初見ではわからなかったのだが、映画全体を通して表現されるあらゆるずれが、ラストに収斂していくのは見事だと感じた。