「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」(ネタバレあり)

少し前に新作である「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を観てきた。

 

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インディ・ジョーンズを演じるハリソン・フォードは映画公開時点で80歳だったらしい(そして先週81歳になっている)。アクション映画の主人公が、80歳を超えているというのは、なかなか珍しいのではないだろうか。特に面白いのが、インディは年齢で身体が衰えているところを隠さないところである。前作でも「もう若くない」というセリフがあったが、今回はハリソン・フォードの上半身裸はまさにおじいさんのそれであるし、戦闘でないシーンで「身体が痛い」といったセリフも飛び出る(腰が痛いだったかもしれない)。何より悲しいのは、大学の授業で彼が話している内容は同じようなことなのに、シリーズを通して生徒たちの反応は淡泊になり、本作ではついに多くの生徒が居眠りしている。

 

ただ、ぶつぶつ言いながらもやはり彼は冒険が好きなようで、今作でも陸に海に空と忙しい。冒険の果てのラストでも、おなじみのテンガロンハットを手にするところで終わり、映画になるかどうかは別として、彼がまた冒険にでる可能性が示唆されている。いくつになっても冒険してよいだ、というメッセージとして受け止められる映画である。一方で、同時に老体にむち打ち、大学生活をリタイアした後も冒険をしなければいけないインディはかわいそうでもある。娯楽アドベンチャー映画なのだから、製作陣はそのようなことを考えていないと思うが、アイロニカルな見方をすれば、年をとっても命がけで冒険しなければ生きていけない社会になっているのかもしれない(そうみるとすごい悲しい映画だな)。

 

直接的なストーリーの話をしていなかったが、ストーリーの展開はいつも通りのインディ・ジョーンズだなと感じた。特に過去作から通して気になるのだが、敵サイドが目的を達成することで結果的に敵が消滅する展開は気になる。1作目では、インディは縛られたうえで目をつむっているだけだったし、4作目もラスボスのケイト・ブランシェットは自分の目的を達成して勝手に消滅した。3作目はそもそも狭い聖域から聖杯を持ちだせない設定だった(むしろなぜ一生懸命奪い合い、かつ700年護っているものがいたのだろうか…)。本作でも、マッツ・ミケルセン演じるナチスの残党は過去に遡り、ヒトラーを暗殺することでナチスを延命させたい、というトリッキーな動機を持っているラスボスなのだが、これまた勝手に意図していない古代へと飛んでいく。それこそ、娯楽アドベンチャー映画なのだから、たまには主人公が敵のたくらみを阻止していいのでもないだろうか。

 

と、ごちゃごちゃ書いておいて何なのだが、あまりごちゃごちゃ考えずに楽しむべき映画である。